秩父市浦山地区にある大日堂の「大日如来縁日」が22日から始まり、白刃の真剣をくわえた獅子たちが荒々しく舞う「浦山の獅子舞」(県指定無形民俗文化財)が3年ぶりに奉納された。同市街地から10キロ以上離れた山深き境内は、獅子たちの勇壮活発な舞を見物する多くの参拝者らでにぎわった。
浦山大日堂獅子舞保存会の浅見明会長(64)によると、同獅子舞は約400年前から続く浦山地区の伝統行事。山間地域の人口減少と高齢化が急速に進んでいることから、現在は都市部に移り住んだ元住民らが駆け付け、伝統を守っている。
真剣をくわえる演目は「剣がかり」と呼ばれ、腹の前に付けた太鼓をたたきながら舞う。祈願者が集まると、獅子たちは笛の音色に合わせて本堂を回り、躍動感あふれる舞いを演じた。獅子舞を授業で学んでいる市立影森中学校の生徒も参加した。
新型コロナウイルス禍で3年ぶりの開催となり、住民の中山登喜夫さん(86)は「中止の2年間は寂しい思いをしたが、久々に多くの協力者たちが駆け付けてくれて、地域に活気が戻った」と顔をほころばせた。獅子舞は23日も奉納され、異形の鬼が集落の家を巡行する「悪魔払い」も行われる。
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